今後の不動産市況から予想する!売却にベストなタイミングは?!
野中清志 住宅コンサルタント 野中清志 著

中古マンション市場が注目されています。都心部を中心とした地価の上昇によって、新築マンション価格は上昇し、エリアによっては一般の方にとって買いづらい状況となってきています。

こうした中、中古マンションの人気が上昇し、首都圏の中古マンション成約件数が増加しています。

こうした好調なマンション市場を支える要素のひとつに「住宅ローン金利」があります。住宅ローン金利は、景気動向や政府の経済政策によって大きく変化します。

最近の経済と金利動向について見てみましょう。

今後の金利動向は?

2012年12月から続く安倍内閣は、アベノミクスの経済目標として、「経済成長率2%」を目標に掲げています。

アベノミクスの当初は経済効果もあり、一時株価は上昇し、景気回復の兆しが見え始めたところで、2014年4月には消費税が8%に引き上げられました。

しかし、消費税増税(8%)を機に景気回復スピードは鈍くなり、2015年10月から予定されていた消費税引き上げ(10%)は、2017年4月に延期となりました。

さらにその後も景気の低迷が続き、2016年6月には、消費税の引き上げを2019年10月まで再び延期することが発表されました。消費税10%への引き上げは、2度に渡って延期されることになったのです。

景気回復を本格軌道に乗せるために、安倍内閣では「異次元の金融緩和」を掲げ、日銀は低金利政策を導入、2016年1月29日には、日銀のゼロ金利政策を超える「マイナス金利」政策が打ち出されました。

これは、銀行が日銀にお金を預けていると、そのお金が減ってしまうので、企業や個人へ資金を貸して、景気を活発化させることが目的の一つです。

こういった資金が企業の投資に回り、現在都心部を中心として地価が上昇しているのです。

低金利はいつまで続くか

現在、GDPは低迷を続けており、安倍内閣では2016年8月に、事業規模が28.1兆円に上る、リーマンショック後では3番目の規模の経済対策を打ち出しています。

景気回復を目標に掲げ、財政赤字を解消し、プライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化させる方針の安倍内閣は、経済成長率が2%に達成するまではこの対策を継続すると考えられます。

ただし、インフレターゲットを達成した場合に消費税率を10%に引き上げれば、景気が腰折れする可能性があります。こうしたことから、当面の間は低金利政策が継続されると考えられます。

金利の違いと借り入れ額の違い

金利が数%違うだけで、マンションの資金計画は大きく変わります。下の表をご覧ください。

例えば3,000万円を借り入れた場合、金利が1%だと毎月の返済額は8万4,685円ですが、金利が3%の場合は11万5,455円になり、年間で30万円以上も差が出ます。35年では1,000万円以上も違ってきます。金利が2%違うだけで、これほどの差が出るのです。

現在は史上最低水準の金利ですから、マンション購入に有利です。ということは、売却にも有利な時期だと言えます。

3,000万円を借り入れた場合の返済額
金利 毎月返済額 年間返済額 総返済額
1.0% 8万4,685円 101万6,220円 3,556万7,700円
1.5% 9万1,855円 110万2,260円 3,857万9,100円
2.0% 9万9,378円 119万2,536円 4,173万8,760円
2.5% 10万7,248円 128万6,976円 4,504万4,160円
3.0% 11万5,455円 138万5,460円 4,849万1,100円
<元利均等返済 借入金3,000万円 返済期間35年 ボーナス払いなし>

東京オリンピックに向けて発展が続く東京エリア

2020年の東京オリンピック開催が近づいてきています。現在、東京都心部のターミナル駅を中心に、再開発が加速しています。低金利による余剰資金は、不動産に多く流入し、再開発を加速させています。

1964年に開催された東京オリンピックの時には、首都高速道路、東海道新幹線、東京モノレールの開通など、多くのインフラが整備され、ホテルニューオータニやホテルオークラなどの高級ホテルも相次いで開業しました。

オリンピックの前にはこうしたインフラ整備が加速し、東京のみならず、日本全体の経済力を引き上げ、発展へとつながりました。

そして現在、かつてのオリンピックの時と同様に、東京の企業収益が増加しています。それとともに、首都圏への企業移転も増加しています。

帝国データバンクの調べによると、2015年に首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)へ他の43道府県から転入した企業は、2014年と比べて13%増加し、集計開始以来最大となりました。企業数が増加し、就業人口が増加すれば、それだけ住宅需要も増加します。

このように、2020年のオリンピックに向けて経済状況が上向いている今、住宅の売却を有利な条件で進めることができる時期なのではないでしょうか。

地価は上昇、中古マンションの補助金も開始

国土交通省が2016年9月に発表した2016年7月時点の地価(基準地価)によると、首都圏の商業地や東京都の住宅地の地価が上昇しました。

東京都の商業地の地価上昇率は、前年比4.1%、住宅地は1.5%となり、いずれも前年を上回りました。

また、都心部の商業地である銀座は、訪日外国人による消費の影響もあってか、地価が大幅に上昇しました。住宅地については、千代田区が10.0%、目黒区が6.1%と、高い上昇率を見せるエリアがありました。

このように価の上昇が続いており、東京や周辺部を始め、日本全体のポテンシャルが上昇してきている地と考えられます。

地価上昇で新築マンションが一層高額化すれば、中古マンションの需要もそれだけ増加すると考えられます。

さらに中古市場を活性化させる要素として、中古マンションなどを購入する際に補助が受けられる制度が新設される予定です。

これは40歳未満の方が中古マンションなどを購入する際に、最大で65万円が補助される制度で、若い層の住宅購入を支援します。具体的には、中古住宅を購入して省エネリフォームをしたり、省エネリフォーム済の住宅を購入した際に、補助が受けられるというものです。

このような制度により、中古住宅市場の一層の活性化が期待できるのではないでしょうか。