不動産売却

不動産投資ローンは繰り上げ返済すべき?意味がない理由と代替案を解説

ローンの残高が気になって早く返済したいと焦り、繰り上げ返済を考える投資家は多いのではないでしょうか。確かに不動産投資ローンを繰り上げ返済すれば、利息の負担を減らすことができます。しかし、繰り上げ返済にはリスクもあるため注意が必要です。

そこで本記事では、不動産投資ローンを繰り上げ返済することの意義について詳しく解説し、投資における最適な選択肢を探る手助けをします。

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不動産投資ローンを繰り上げ返済したくなる心理

不動産投資家がローンを繰り上げ返済したくなる心理には、一般的に以下のような要因が考えられます。

借金を早く返済したい

借金を抱えることは、多くの人にとってストレスの原因となります。不動産投資家も例外ではなく、ローンを早く返済して、経済的な負担から解放されたいという気持ちが強く働くものです。

ローンの残高が減ると分かりやすい形で「経済的なリスクが減った」と感じることができるため、心理的な安心感を得られることから繰り上げ返済を望む人は多いでしょう。

支払い利息を減らしたい

繰り上げ返済を行うと、ローンの元本が減るため、将来的に支払う利息の総額も減少します。

投資家として長期的なコストの削減は気になるポイントであり、特に金利が高いローンを抱えている場合、繰り上げ返済が利息軽減の有効な手段として認識されやすいです。

将来の不安を少しでも減らしたい

借金がストレスになる理由とほぼ同じですが、不動産市場や経済状況の変動によるリスクを減らしたいという理由から繰り上げ返済をしたくなる人もいるでしょう。例えば、金利が上昇する可能性や、経済不況による家賃収入の減少を懸念して、負債を早期に減らすことでリスクを軽減しようという考えです。

また中には、年齢やライフステージの変化に伴うリスクを減らすことを目的として繰り上げ返済を検討する人もいます。特に、定年を控えた投資家は、ローンの返済を終えて負債ゼロの状態で安定した収入を確保したいという気持ちが強くなりがちです。

専門家からアドバイスされた

金融機関やファイナンシャルアドバイザーといった専門家のアドバイスが影響している可能性もあります。直接アドバイスを受けるだけでなく、動画やニュースなどで見聞きした情報から、繰り上げ返済が有利と感じる人もいるでしょう。

こうした理由により、不動産投資家はローンの繰り上げ返済を検討することが多いですが、実は、そもそも繰り上げ返済はこうした悩みの解消に効果的な手段とは言えません

不動産投資ローンの繰り上げ返済は意味がない?リスクやデメリットを解説

繰り上げ返済は、不動産投資家が抱える心理的・経済的な不安やリスクを一部解消できる可能性のある手段ですが、根本的な問題の解決にはほとんど繋がりません。それどころか、新たなリスクや問題を引き起こす可能性があります。

以下に、繰り上げ返済の意味がない理由を解説します。

根本的な経済状況の改善にはつながらない

繰り上げ返済によりローン残高が減少すれば、確かに借金に対する不安感が和らぐことはあります。しかし、この安心感は一時的なものであり、根本的な経済状況の改善にはほとんどつながりません。それどころか、結果として不安が増すこともあります。

これはなぜかというと、次項で説明する通り、手元資金が減少することで急な出費や不測の事態に対応できなくなるリスクが高まるためです。

急な出費に対応できなくなる

不動産投資には、突然の支出は付き物です。退去者が出たときの原状回復工事費、入居者募集のための広告費、水回り設備が故障したときの交換費などは、ケースによっては数百万円に達することもあります。

不動産投資ローンの繰り上げ返済ばかりに注力してしまった結果、これらの支出に備えた貯蓄をすることができず、生活を圧迫してしまうケースは少なくありません。ローンを繰り上げ返済した後で急な出費に迫られ、さらなる借金が必要になる可能性もあります。

低金利の環境では利息軽減効果は大きくない

繰り上げ返済すれば、支払い利息の総額が減ることは確かです。これは、繰り上げ返済の明確なメリットの1つと言えます。しかし、この確実に得をする、という考え方が曲者です。

確かに、繰り上げ返済せずにそのまま返済し続けた場合と比べれば、繰り上げ返済した方が得をします。しかし、繰り上げ返済せずに、そのお金を他の投資に回していれば、もっと得をする可能性があります

特に、昨今のような低金利の環境では、繰り上げ返済による利息軽減効果はかなり限定的ですから、その資金を他の投資に回した方が、総合的なリターンが大きくなることは珍しくありません。金利が5%以上であればメリットは大きいのですが。

不動産投資博士
不動産投資博士
手元の現金が減り、急な支出に対応できなくなるリスクだけを考えても、繰り上げ返済によって得られるメリットは小さすぎると言えるでしょう。

将来的なリスクの回避につながらない

繰り上げ返済を行っても、不動産市場や経済環境の不確実性からくるリスクを完全に排除することはできません。むしろ、繰り上げ返済を行ったことで手元の資金がなくなるため、家賃収入の減少や物件の価格下落といったリスクに対応する体力がなくなってしまいます。

本来、不動産投資におけるリスク管理は、多様なポートフォリオの構築や資産分散によって行うべきであり、ローンの繰り上げ返済は効果的な手段とは言い難いのです。

とはいえ、十分なリスクヘッジが可能なポートフォリオを不動産投資で構築するには、相応の資金が必要です。一般的なサラリーマン投資家には現実的ではありませんから、そもそも不動産投資自体、リスクに見合っていないと言えるでしょう。

繰り上げ返済するくらいなら売却した方が良い

不動産投資ローンの繰り上げ返済をする人の多くは、「毎月のキャッシュフローを改善したい」「精神的な負担を減らして楽になりたい」と考えているでしょう。しかしながら、このように考えているのであれば、やるべきことは繰り上げ返済ではなく、不動産の売却です。不動産を売却して、頭を悩ませる心配事の種をさっさと手放しましょう。

繰り上げ返済のためにまとまった資金を使ったあとでは、不動産の売却すらできない可能性があります。

不動産を売却する際には、仲介手数料などの費用がかかるため、ある程度まとまった現金が必要になるケースが多いです。手数料だけならいいですが、オーバーローン(ローン残債より物件価格が低い状態)になってしまっている場合、その差額を用意しないと抵当権が解除できません。そのため、不動産売却のために新たに借金をしなければならないケースも珍しくないのです。

繰り上げ返済をしてしまうと、売却したくても自己資金が無くて売却できないという状態に陥ってしまいます。せっかく繰り上げ返済を検討できるだけの自己資金が手元にあるのであれば、それを使って繰り上げ返済するのではなく、不動産の売却を進めましょう。

投資用不動産で成功する人はごく少数です。多くの場合は、管理費や修繕費の支出がどんどん増えていき、資産価値も家賃収入も下がっていき、マイナス収支に陥ります。一度キャッシュフローがマイナスになった投資用不動産は、所有期間が長くなればなるほど損失は拡大する一方なので、繰り上げ返済でわずかな利息を減らすよりも、早急に売却をするべきです。

「投資マンションの処分は買取がおすすめ」な理由

不要な投資マンションの処分は、不動産会社への買取依頼が迅速かつ確実です。

仲介による売却も方法として一般的ですが、仲介は以下のようなトラブルになる可能性が高く、基本的におすすめできません。

  • 売れる見込みのない査定価格をつける「高預かり」をされ、売れないからと価格を下げられてしまう
  • 媒介契約のつもりが契約日を空欄にした売買契約を締結され、違約金を騙し取る違約金詐欺にあう
  • 高値で買い取った後、物件にイチャモンをつけて損害賠償請求をされる
  • 手数料目当ての「囲い込み」により、1,000万円単位で価格を下げられる

これに対し、買取の場合は不動産会社が買主となります。査定依頼から売買契約、代金受領までの一連の流れをすべて不動産会社に任せられて、非常にシンプルです。

  1. 不動産会社に査定を申し込む
  2. 査定結果を受け取る
  3. 売却を決めたら、必要書類を準備して売買契約を結ぶ
  4. 指定の口座に買取代金が振り込まれる

査定金額に納得でき、契約が滞りなく進めば、かなり早期に代金を受け取れるので、現金化を急ぐ状況でも便利です。

投資用不動産を早く手放したい方にとって、不動産売却に関する知識が豊富でなくてもスムーズに売却でき、確実に現金化できる買取は最善の選択肢といえます。

不動産投資博士
不動産投資博士
とはいえ、信頼できる買取業者へ依頼することは必須です。業者選びはくれぐれも慎重に行いましょう。

まとめ:繰り上げ返済はデメリットも多い!負担を減らしたいなら早急に売却すべき

今回は、不動産投資ローンの繰り上げ返済について詳しく解説しました。繰り上げ返済には、支払う利息の削減や返済期間の短縮といったメリットがあります。一方、繰り上げ返済には手数料がかかるうえ、繰り上げ返済を優先しすぎると急な支出に対応できず、さらなるリスクや不安を招く可能性があります。

借金をしている現状に不安を感じて繰り上げ返済を検討するくらいなら、手元に自己資金があるうちに、不動産の売却を考えましょう

そもそも、不動産投資はギャンブルと同じです。既に所有している不動産の運用がうまくいっていないのなら、いくら寝かしていてもキャッシュフローが好転することはありません。金銭的・精神的な負担を減らすためには、負けは負けとして認めて、これ以上の損失を抑えるためにも一刻も早く手放すことをおすすめします。

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