「投資用ワンルームマンションの価格って今後どうなるの?」
「赤字続きで不安。このまま所有しつづけるべき?」
今回は、こんな悩みを抱える方のために、購入した投資用ワンルームマンションの価格がどう推移するのかについて、一般的な価格下落率などをもとに解説します。
さらに、投資の収支がマイナスのときの対処法も紹介するので、不動産投資にチャレンジしたけれど結果が出ずに困っているという方は、ぜひ参考にしてください。
10~20年後の投資用ワンルームマンションの価格はどうなるか
早速、現在所有している投資用ワンルームマンションの価格が、10~20年後にどのように推移していくのか、見ていきましょう。
投資用ワンルームマンションの家賃下落率は年間1%
投資用ワンルームの価格下落率を考えるにあたって、まず家賃下落率を認識しておきましょう。投資用ワンルームマンションの家賃下落率は、年間おおよそ1%と言われています。月額賃料10万の物件なら、翌年には9万9000円になる計算です。
ただし、以下の三井住友トラスト研究所が算出した築年数別の賃料を見ると、下落するペースは経年時期によってだいぶ違いがあることが分かります。
出典:三井住友トラスト研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とのその理由」
投資用ワンルームマンションでは、築3~10年の築浅物件の第1フェーズにおいて、もっとも大きな賃料の低下があります。このフェーズでは、年1%どころか、1.7~2.2%もの賃料が下落します。これは、新築物件との競合にさらされることが要因です。
入居者の「より新しい物件に入居したい」という意向が影響し、築浅物件間において激しい競合が起こった結果、賃料下落率の大きな低下につながっています。
その証拠に、築浅物件間の家賃競争から離脱できる第2フェーズ(築11~20年)では、賃料の下げ幅が緩やかになります。さらに、築21年以降の第3フェーズまでくると、シングルサイズのマンションでは0.1%まで下落率が減少します。
まとめると、平均して年間1%の家賃下落率ではあるものの、経年時期が浅いほど賃料の下落ペースは大きいというわけです。
価格下落幅は賃料下落幅より大きくなる
不動産の価格下落率の考え方はいろいろありますが、今回は賃料をベースにする収益還元法で考えていきます。収益還元法では、単純化すると「純収益÷利回り=物件価格」という計算で物件価格を算出します。
例として、月額賃料10万円、年間維持費20万円、年間利回り5%の物件を考えてみましょう。純収益は、年間収益120万円から年間維持費20万円を引いて100万円です。計算は下記のようになります。
(120万円ー20万円)÷ 0.05 = 2000万円
次に、このマンションが築3年の物件として、1年経過したときにどれだけ物件価格が下落するのかを試算します。築3~10年のフェーズでは1.7~2.2%家賃が下落するので、今回は分かりやすく2%下落すると考え、年間収益は120万円から2%引いた117万6000円になります。この場合の計算は下記のとおりです。
(117万6000円ー20万円) ÷ 0.05 = 1952万円
1年で2000万円から48万円、割合にして2.4%もの価格が下落しました。この試算から分かる通り、賃料の下落幅以上に物件価格は下落するのです。
築古だから下落しないわけでもない
前項の計算で、賃料の下落幅以上に物件価格が下落する原因は、賃料が年々下落するのに対して、修繕費や手数料、広告費といった経費は基本的に据え置きで考えるからです。そのため、トータルで考えると賃料下落が全体の価格下落に与えるインパクトが大きくなるのです。
しかし実際には、経費は年々増えていくものなので、価格下落率はもっと高くなるものと考えておいたほうが良いでしょう。
築10年以降は賃料が下落しにくくなるものの、修繕積立金などの経費が段階的に増えていき、純収益を圧迫していきます。
新築や築浅物件に比べて築古物件のほうが価格下落が緩やかなことは確かですが、だからといって価格が下落しないわけではないのです。築古ならこれ以上はそんなに下落しないだろうと高をくくっている方は注意してください。
立地の良いマンションは価格が下落しにくい、けど……
不動産の価格下落に影響を与える要因は、人口動態や経済動向、ブランド力などいろいろありますが、つまるところ、立地の良さにかかっています。
しかし本当に立地の良いマンションは不動産会社や機関投資家など投資の専門家が買ってしまうため、我々一般的な投資家にはまず回ってきません。企業や投資家の網をくぐり抜けて来た時点で、その物件に投資価値はないのです。
投資用ワンルームマンションの収支がマイナスのときの対処法
すでにキャッシュフローがマイナスになってしまった投資ワンルームを抱えながら、悩んでいる方は多いでしょう。一般的な対処法にそれぞれ簡単に触れたうえで、最終的に私がおすすめする方法についても解説していきます。
繰り上げ返済する
キャッシュフローの収支を少しでも良くしようと、繰り上げ返済を検討する人もいるでしょう。
繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。
繰り上げ返済の種類 | 詳細 |
期間短縮型 | 返済額はそのままで、返済期間を短くする |
返済額軽減型 | 返済期間はそのままで、毎月の返済額を減らす |
一般的には期間短縮型を選んだほうが利息負担は減らせますが、しかし、現在のような低金利の環境では利息の負担が少ないことから、繰り上げ返済をしてもほぼ意味はありません。
むしろ、せっかく手元にある資金を使うことになるため、繰り上げ返済した後で急な修繕などが発生した場合、改めてフリーローンなどを組む必要に迫られる可能性もあり、かなりリスキーです。
ローンの借り換えを検討する
金利の高いローンから低いローンへ変更することで、収支改善を見込める場合があります。
以下は、金利2%と3%のときの返済額の例です。
【返済期間20年で2,000万円を元利均等で借入したとき】
金利 | 月々の返済額 | 年間の返済額 | 総返済額 |
3% | 110,919円 | 1,344,314円 | 26,620,567円 |
2% | 101,176円 | 1,223,134円 | 24,282,300円 |
差額 | 9,743円 | 121180円 | 2,338,267円 |
上記の試算では、金利3%のローンから金利2%のローンに借り換えることで、月々の返済額が約1万円変わりました。総返済額は230万円ほど変わってくるため、融資残高と残り年数が多く、金利の高さに悩んでいるならローンの借り換えを検討する余地はあるかもしれません。
ただし、ローンの借り換えにはコストがかかります。現在のローンを解約するだけでも数万円単位の手数料や、借入額に応じた違約金が発生します。また新たにローンを借りるときも、さまざまな諸費用が発生するので、うまく借り換えられたとしても、結局思ったほどキャッシュフローは改善しないでしょう。
ローンの借り換えにかかる費用は、大まかに下記のとおりです。
【現在のローンを解約するときの費用】
費用項目 | 詳細 |
一括返済手数料 | 元のローンを一括で完済するときにかかる ・金額は金融機関によるが、数万円が目安 |
違約金 | 残債に応じてかかることがある ・借入金額の1~2% |
抵当権の抹消費用 | アパートの抵当権を抹消する ・1,000円 |
【新たなローンを契約するときの費用】
費用項目 | 詳細 |
保証料 | ローンを組むとき保証会社へ支払う ・借入金額の1~2% |
事務手数料 | 金融機関によって異なる ・おおよそ借入金額の1~2% |
登録免許税 | 抵当権を設定するにあたって税金を支払う ・借入額×0.4% |
印紙税 | 契約金額に応じて税金を支払う ・数千円~数万円程度 |
司法書士報酬 | 登記や抵当権に関する手続きに支払う ・5~10万円程度 |
コストを削減する
コストの削減も定番です。投資用ワンルームマンションの経営には、以下のような経費がかかります。
- 修繕費
- 管理費
- 消耗品費
- 火災保険
- 通信費
- 水道光熱費
- 固定資産税
- 都市計画税
- 交通費
- 広告費
- 原状回復工事費
いずれも必要な経費ですから、簡単にカットできるものではありません。毎月かかるものだからといって管理費を削減しようとすると、管理会社そのものを変更する必要があります。良い管理会社に出会える保証はなく、現在サブリース契約している場合はそもそも解約できない可能性も高いです。
管理手数料や広告費を節約した結果、空室期間が増えて収益性が低下するのも本末転倒です。そもそも、投資用ワンルームの価格下落率に対して、少しくらいのコストカットは焼け石に水でしょう。
さっさと売却して手放す
収支が悪化しているとき、もっとも現実的な方法は売却です。
ここまでワンルームマンションの収支改善方法をお伝えしてきましたが、どの手段も根本的な解決にはなりません。
経営がうまくいっていないワンルームマンションをその場しのぎの方法で無理に所有しても、キャッシュフローがマイナスに推移しつづけ、さらに負債が膨らむばかりです。
損失を最小限に抑えたいのであれば、売却するしか選択肢はないでしょう。賃料下落率や価格下落率の話を見ればわかる通り、一度マイナスになったキャッシュフローが再びプラスに転じることは基本的にあり得ません。
投資用ワンルームの売却は「仲介」より「買取」がおすすめ
投資物件を処分する際は、不動産会社への買取依頼が迅速かつ確実です。
仲介による売却も方法として一般的ですが、仲介は以下のようなトラブルになる可能性が高く、基本的におすすめできません。
- 売れる見込みのない査定価格をつける「高預かり」をされ、売れないからと価格を下げられてしまう
- 媒介契約のつもりが契約日を空欄にした売買契約を締結され、違約金を騙し取る違約金詐欺にあう
- 高値で買い取った後、物件にイチャモンをつけて損害賠償請求をされる
- 手数料目当ての「囲い込み」により、1,000万円単位で価格を下げられる
これに対し、買取の場合は不動産会社が買主となります。査定依頼から売買契約、代金受領までの一連の流れをすべて不動産会社に任せられて、非常にシンプルです。
- 不動産会社に査定を申し込む
- 査定結果を受け取る
- 売却を決めたら、必要書類を準備して売買契約を結ぶ
- 指定の口座に買取代金が振り込まれる
査定金額に納得でき、契約が滞りなく進めばからかなり早期に代金を受け取れるので、現金化を急ぐ状況でも便利です。
投資物件を手放したいとき、不動産売却に関する知識が豊富でなくてもスムーズに売却でき確実に現金化できる買取は、最善の選択肢といえます。
まとめ
当記事では、投資用ワンルームマンション購入後の価格下落率についてお伝えするとともに、収支がマイナスのときの対処法を解説しました。
しかしどの方法も根本的な解決には至らないことから、早期売却がもっとも望ましいです。そして売却する際には、リスクが少なくスピーディな「買取」を選ぶことが大切です。
これ以上負債を抱えないためにも、経営困難に陥ったときは無理に所有しようとせず、早く手放しましょう。
ワンルームマンションは絶対にやってはいけない投資です。
もし今ワンルームマンションをお持ちなら、損切りしてでも手放してください。
ワンルームマンションは月々の手出しがマイナスである上に、資産価値も老朽化と共に下がっていきます。少しでも早く売却することがダメージを最小限に抑える最適解です。
私も持っていたワンルームマンションは手放しました。もちろん数百万円のローン残債が残り、家族からお金を借りて完済しました。それでも持ち続けるよりは良い解決策だったと今でも確信しています。
もし今持っているワンルームマンションで、月々の手出しが発生しているなら、今すぐにでも売却してください!ただ売却先もキチンと選ばないと詐欺にあってしまう可能性があります。。
私も持っていた物件は全て売却しました。もし売却でわからないことや相談したいことがあったらLINEで相談に乗ってますよ。